第54章 あなたの愛で繋いで
「はい?」
「あぁ、お休みのところすみません。うちの娘が少し会いたいと……」
八戒が出て、対応する。わいわいと話している四人をチラリと見ながら宿主に問いかけていた。
「あの、会いたいって……誰にでしょうか」
「ほら、怜音(レノン)。」
そう促された怜音と呼ばれた女の子がおずっと宿主の後ろから出てきた。
「あの……」
「おや、はじめまして」
「はじめまして……私。」
「何でしょうか?というか、誰に会いたいのでしょうか」
「あの……あの金髪の……」
そう言いながらもチラリと視線を送る怜音。しかし視線を追うこと無く八戒はその対象が三蔵であるということは先にいっていた怜音の特徴でしっかりと見抜いていた。
「少しお待ちください?」
小さく頷いた怜音を置いて八戒は三蔵のもとへと向かっていった。
「三蔵、ちょっといいですか?」
「なんだ」
「こちらの宿主のお嬢さんが三蔵に会いたいと…」
「……理由は」
「知りませんよ。僕が話し聞いた訳じゃないので。どうしますか?」
「ハァ……めんどくせぇ」
そう呟きながらも三蔵は出入り口に向かっていった。
「なんだぁ?三蔵ご指名?」
「えぇ、何か……訳ありというか……」
「訳あり?」
「…いえ、僕の思い過ごしかもしれませんし」