第49章 足りないもの
翌日、しっかりと雨も止み、買い出しも終えて、村を後にした一行。
「…なぁ、最近紅孩児達こねえよな…」
「こなくていいだろうが…」
「そうなんだけどさ…?」
「なぁんか物足りねえよなぁ」
そうこう話しているとどこからともなく妖怪の気配がし出した。
「おい、赤河童」
「なんだ?」
「お前が変なこと言うから…沸いて来たじゃねえか…」
「俺のせいかよ…」
「他に誰がいる」
「まぁ、村で襲われなかっただけでも良しとしませんか?」
「それもそうだな!」
そういって悟空と悟浄がひゅっと飛び出す。
「さてと…白竜と雅は待っててくださいね?」
「キュッキュキュ!!」
「解った…」
「よっしゃ!!」
そうしてそれぞれ構えるとぐるりと囲まれた。
「あの…私も囲まれました……」
「知るか。三蔵一行なんだから囲まれても仕方ねえだろ…」
「攻撃できないか弱い乙女なのに……」
「どの口が言ってる」
「ひど……」
「そんな男止めて俺にしとけって、雅」
「悟浄…」
「貴様も一回死んでみるか…?」
「まぁ、死んだ後に生き返っても雅がいてくれたらそれでいいけど?」
「ふざけろ、寝言は寝て言え」
「なぁなぁ、だったら雅も一緒にやったらよくない?」
「悟空…なに言ってんだ…」
「だってさーー」
「そうこう出来るものでも無いし……」
「ま、そろそろ向さんも待ちくたびれてるみたいですし…」