第48章 優しいバースディ
そういうと照れ隠しだろう。再度くいっと抱き寄せた。
「ありがとう…三蔵…」
「さて……そろそろ下手したら帰ってくるな…服着ろ服!」
「…ん」
そうして服を着るべくベッドから降りる雅。ジッと背中のジッパーをあげたときだ。
「自分であげれるんだな」
「そりゃ、あげれなきゃ困るよ…」
「そういうもんか…」
「そうです。あ……!」
「なんだ」
「三蔵の私服!見たい!」
「見ただろうが…」
「でも新しいの見てない」
「……要るか?」
「みたい!…ダメ?」
「…ハァ…めんどくせえ」
「めんどくないよ!ほら!」
「何でそんな嬉しそうなんだよ」
そういうと荷物の中から三蔵の私服を取り出した。
「…っつか、なんで雅が持ってんだよ」
「…んーー?いつでも三蔵の服着れるように?」
「いや、意味わかんねえよ」
「だって…最近……三蔵足りない…」
「……だからって勝手に人の服着るな」
「言ったら三蔵反対するもん」
「当然だ。たかが服にすがるな」
「……三蔵?」
「…チッ…」
「でもね?三蔵のサイズの服だと、しかも三蔵のだとね?だっこされてるみたいなんだ」
「……おい…」
「はい?」
「いいから俺の服着るな…」
「…じゃぁ三蔵着てくれる?」
「…なんでそうなる」
「…だって……」
「あのなぁ。俺が足りないとか言うけどな…俺だって雅が足りねえんだよ。それを勝手に一人で紛らせようとすんな」
「…三蔵…?」
「解ったら返せ」
「…着てくれる?」
「着ねえ」
「…ムゥゥゥ…」
「今度…」
「…え?」
「次の街がでかかったらその時着てやるよ」
「…ほんと?」
「あぁもう、うるせえ」
「…約束だからね!」
そういって雅は小指を三蔵に差し出した。
「何の真似だ…」
「指切り!」
「…要るのか?」
「要る!!」
「…たく…こんなの子供だましだろうが」
「子供だましでもいいの!」
そういって小指を絡めた二人。
それから少しして買い出し組は戻ってきた。夕飯にケーキとごちそうを買ってきた。
「そういえばお二人とも昼食は?」
「あ…食べてない…」
「だとしたらこれでも食べますか?」
「何々?」
「おいしそうなサンドイッチ売ってたんですよ。」
「こんな村なのにな」
「是非食べてみてください?」
「ありがとう!」
そうして二人して少し遅めの昼食となったのだった。
