第47章 埋める穴、そしてキス
「……ほら」
「え……何…これ」
「……今渡したら、誕生日ねえからな」
「…さんぞ…?」
「なんだよ。知りたかったんだろ…俺がいなかった理由」
そう言うと無造作に手の中に入れるとベッドから立ち上がり着替えを始めた。
「…ねえこれ……」
「要らねえなら捨てろ」
「……そうじゃなくて……」
「なんだ」
「買ってくれたの?」
「……ちげえよ」
「…でも……」
手早く着替えた三蔵は脱いだ服を荷物にまとめる。
「ねぇ三蔵!」
「うるせえよ……少しおかしくても怒るなよ?」
「…え」
「俺が作った。」
しかし、雅の手の中にあるものはリングではなく、透明な樹脂の中に小さな花が入ったヘアゴムだった。そう、リングのカモフラージュに、ともう一つ作っておいたのだ。
「だって……三蔵が…作ったの?」
「これだけでかい街なら何かあるとは思っていたが。ここを逃したら誕生日までにこれだけの街に行けるか解らねえからな。まさか作る、とは俺もおもわなか…ッッ」
背中に巻き付いた雅。ぎゅっと腰に巻き付き、その手にはもらったばかりのヘアゴムが握りしめられていた。
「おい……」
「ありがと……私…何も知らないのに……こんな……」
「泣いてんのか?」
「泣いてない…ッッ」
「ハァ…ま、雅にはイメクラみたいなもんかも知れねえが?」
「そんなこと無い!」
「だってあっちもこっちも女だらけだ…本当にあんな空間は金輪際ごめんだな…」
「…三蔵…ありがと……」
「…あぁ」