第46章 共犯者
翌朝…
雅がまだうとうととしている時に三蔵は着替えをして宿を後にしていった。
「…ン…」
目を冷ました雅はいないことに気付き、服を着ると八戒の部屋に向かう。
「おはようございます」
「おはよ、ねえ八戒?」
「はい?」
「三蔵知らない?」
「いえ、今朝はまだ見てないですが…」
「そっか…」
「部屋にいないんですか?」
「一緒に寝てたはずなんだけど…起きたらいなかった…」
「…あーー、そうなんですね…?」
「ん…」
「多分もう出掛けたんじゃないでしょうか?」
「……早いのに……朝…苦手なのに……」
「大事な用事なのかもしれないですから…まずは僕たちも朝食の準備、しましょうか?」
「…ん……」
そうして顔を洗いに向かった雅を見て八戒はくすりと笑っていた。
「さらっと言っちゃうんですから……一緒にいたって……」
そう呟きながらも自身も支度を始めた。少しして悟浄が起きてくる。
「よ」
「おはようございます、悟浄」
「さっき雅いなかったか?」
「えぇ、いましたよ?顔と身支度整えに行きました。」
「…って事は一晩ここに居た訳?」
「違いますよ。だとしたら三蔵に殺されちゃいます。」
「だわな。で?その三蔵様は?」
「朝早くに出ていったみたいですよ?何せ一晩一緒にいた雅の証言ですから間違いありません…」
「あぁーー、そういう…つか、本当に何してんだ、あいつ」
「まぁ、雅へのプレゼント作りってとこですかね…」
「…何隠してんだ、八戒」
「嫌ですね…、隠してるつもりはないですよ?」
「言えって…」
「実は…」
そういって昨日見聞きしたことを伝えた八戒。それを聞いた悟浄はぽかん…と呆気にとられていた。
「…で?それ作るために雅に内緒で?毎日工房詰めってか?あの三蔵が?」
「みたいです」
「……柄にもねえ事してんな…あいつ」
「そうですね、一体どんな顔して作ってるんでしょうかね」
「みてみたい気もするけど…」
「やめてくださいね?悟浄。」
「しねえよ。でも、……できんのか?あの坊主に」
「あぁ見えて意外と器用ですからね…三蔵は…」
「しかも雅のためのだってか?そりゃ…作っちまうか…」
「えぇ。」
そうして秘密の共犯者を二人に増やした八戒は固く口止めをして、朝食の支度に入っていったのだ。