第42章 新たな力
村に着き、とりあえず宿に向かった一行。四人部屋と二人部屋を借りることにしたものの、ひとまず雅と話がしたい、と八戒は三蔵に頼み、二人部屋に雅と入っていった。
「……なぁ、なんで今回三蔵がこっちにいんの?」
「少しの間だけだ」
「でもさ?雅……回復専門じゃなかったっけ?」
「専門…ではねえだろ」
「そうだな。それ以外にもできるんだろうが、その芽を出さなかっただけ…だろう」
「芽って……」
「ま、俺にはあの系統の力の事は解らねえからな…八戒に任せるしかねえだろ…」
「そう…だよな…」
「…?どうした猿」
「なんか…雅がさ…」
「怖いのか?」
「ちげえよ…!怖いとかじゃないんだけど……なんか俺の知らない人になっちゃうみたいで……」
「そんなことは無いだろう?」
「でも三蔵?!」
「力の開花は誰だって怖いだろうしな。思いがけないことなら尚更だ。でも、悟空じゃねえ。今一番不安なのは雅だろう?」
「…ん……」
「知らない誰かになるんじゃねえ。雅の新しい力…って訳でもねえか…それをどう使うことになるかは雅次第だし、何にしても八戒がいる。そうだろう?」
「……そう…だよな……」
そう話している間にも、離れた部屋では八戒と雅が話していた。