第40章 思いがけないコト
「俺もその店の近くを通ったんだ。そうしたらやっぱり声かけられた。」
「…入った?」
「入るかよ!」
「…それで?」
「なんか色々話してくるから聞いてたら、『さっき来たメガネさん達にもフラれちゃった』なんとか言っていたからな。」
「そっか!今度一緒に行ってみる?」
「ばかだろ」
「むぅ……じゃぁ悟浄と行ってくる」
「冗談にもならねえ」
「だって!」
「だってじゃねえよ。マジで自覚あんのか?てめえは。」
「自覚?自覚って…?」
そう聞く雅を三蔵はベッドに押し倒した。
「お前は誰の女だってんだよ…」
「…ッッそれは…」
「言えよ」
三蔵が高圧的で命令口調なのはいつもの事だ。それでも、雅は今宵だけは少し意地悪をしたくなっていた。
「誰の女かって…三蔵が一番知ってるでしょ?」
「さぁな。どうだか」
「そうなの?私てっきり知ってくれてるものだと思ってたけど?」
「女の心は変わりやすいからな」
「…そぉなの?」
「現に悟浄あの男にも靡いたことあるじゃねぇか」
「ないよ」
「言い切れんのかよ」
「うん」
そっと三蔵の金糸の髪に指を滑らしにこっと笑った雅。
「意地悪しすぎたね、ごめん」
「ぁん?」
「私は三蔵のよ?三蔵が要らねぇよって言うまでずっと…」
「フッ…だったら今後ずっと俺のものだな」
「モノ扱いは…って、それって…」
「なんだ、不満か?」
「じゃなくて!」
「ぎゃぁぎゃぁ騒ぐな…キスできねぇだろうが…」
そういい、三蔵の顔がゆっくりと近付く。ふわりと重なるその唇は何度も重なっては離れていく。しかしふと三蔵は思いだした。
「…悪い…」
「え?」
「……」