第4章 決心
「うわぁ、これ可愛い…」
「珍しい、見たこと無い子だね」
「えと、旅というか、さっき着いたばっかで…」
「そうかい、娘独り身で大変だねぇ」
「一人じゃないですよ?」
「連れは別行動かい?」
その一言で雅は後ろを振り替える。しかしそこには三蔵や八戒、悟浄や悟空の姿は誰一人居なかった。
「あ、ごめんなさい、また…」
そう言いながらも立ち上がりキョロキョロ見渡した。しかし見当たらず困っていた。とりあえず手当たり次第に食事処を覗いていくもののどこにも居ない。ドクドクと鼓動が早くなるのを感じていたものの、落ち着かせようと必死に深呼吸をする。その時ドンッとぶつかった。
「ごめんなさい!」
「いえ、こちらこそ、すみません」
「………」
「あの…?」
「あ、いえ…美人過ぎて…すみません…」
「…なんで泣いてるんですか?」
「え…」
ふと頬を伝う涙をその女性はゆっくりとぬぐった。
「お一人ですか?」
「いえ…一緒に居た人達とはぐれてしまって…」
「そうでしたか…もし良ければ一緒に探しましょうか?」
「でも…ご迷惑じゃ…」
「良いんですよ、私も付き添いできたのですが…」
「やっおねー!!!」
少し離れた所から紙袋一杯の食料を抱えて小さな女の子がやってきた。
「李厘様!またそんなに買い込んで…」
「へへーん!大丈夫だよ!お兄ちゃんの分も入ってるし、八百鼡ちゃんは……ってその人誰?」
「お連れの方とはぐれてしまったみたいですよ。一緒に探そうかと思っていたところです。」
「そうなんだぁ、あ、これ!食べる?」
「…えっと」
「毒なんか入ってないよ?睡眠薬とかも!入れるなら三蔵のに入れて経文奪うけど!」
「李厘様!!」
しかし雅はその一言を聞き逃さなかった。