第3章 初乱闘
「妖怪が村の外には居るのに、なぜ村に押し入ってこなかったか…解りますか?」
「え…?人間には興味ないからじゃ…」
「あなたですよ、雅。」
「私?」
「恐らく。確信や根拠はないですが、いつも外に居たあなたは人知れず力を上手く使える様にコントロールの練習をして居た。それが妖力でなく魔力であっても妖怪達には驚異の力と感じ取ったのでしょう。それが十年となれば自然と寄り付かなくなります。」
「そっか……ちょっとまって、だとしたら今のあの村は…!」
「少しの間は持ちます。それがどの位持続するかは僕らにも解りません。効果が切れた時に襲われるかもしれませんし、なぜか襲われない村や町も少なからず存在しますから。」
「どっちにしろ気にする必要はない。要らないと言ってきたのはそもそもあいつらだ。雅が気に病むことはねぇだろうが。」
「三蔵?言い方」
「事実だろうが。それでも十そこそこの子供の力に今まで知らなかったとはいえ頼っていたのはあの大人共だ。雅に感謝することは実際なくても、無能な妖怪共がペラペラと話すだろうしな。」
「その時に雅に守られてたんだって気付かされんだろうな。」
「お前が気にすることはない。むしろ誇れることをして来たんだ。お前はあの村で、存在価値がないと言われてたみたいだかな、十分すぎる程の価値があった。それを忘れるな。」
「ほぉ…珍しいな、三蔵がそんなに褒めるなんて。」
「ほんとだ。」
「まぁ、事実ですからね。」
「あの…ありがとぉ…三蔵…」
「…フン」
三蔵の言葉に、にこりと笑い、雅は手のひらをみつめていた。