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凜恋心【最遊記】

第23章 揺れる心


「あいつの事は諦めろ」
「なんだよ!三蔵が一番諦めらんねぇ顔してんじゃん!」
「うるせぇって言ってんだろうが!」
「…なんでたよ。」
「ぁん?」
「なんでそんなに平気なフリ、すんの?良いじゃん!寂しいって言ったって!奪われて悔しいって!それ言ってもカッコ悪くねぇじゃん!嘘吐くなよ!」
「……ツツ」
「悟空の言う通りですね」
「たく、猿にしちゃ正論だな」

そう悟浄に頭をガシガシと撫でられた悟空と何も反論出来ずにいた三蔵だった。
それから二日経つも街どころか、村にも到着しなかった。道を間違えているわけでもない。ただ、こう言う時に限って次の街までの距離が長いのだ。

「なぁ、三蔵?」
「なんだ」
「……あのさ、みや『うるせえ』……ってまだ何にもいってねぇよ?」
「その名前を出すな」
「……むぅぅぅぅ」

そんなことの繰り返しだった。妖怪が殴り込みに襲いかかってきても、いつもなら傍観者を決め込む三蔵も、銃をぶっ放しては、何か情報を聞こうとする。しかしいつも知らないと言われて終わるのだった。

「こうも毎回『知らねぇ』っていわれるのもなぁ」
「…チッ」
「三蔵、雅が裏切ったと思っていますか?」
「八戒…てめぇまで何言ってやがる」
「三蔵?」
「あいつがそんな簡単に寝返る様な女じゃない事位わかるだろうが。」
「……じゃぁ」
「理由が解らねぇのがムカつくんだよ」
「……三蔵」
「…ふざけやがって……」

そう呟く三蔵の横顔は怒りと寂しさが混じりあっていた。
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