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凜恋心【最遊記】

第3章 初乱闘


「三蔵も呼び捨てでいいですよね」
「好きにしろ」
「…だそうですよ?」
「解った、ありがとぉ」
「気にしないでくださいね?あ、」

その八戒の『あっ』の言葉と同時にジープは止まる。

「雅?隠れてな?」
「え、隠れるって…」

そう話している最中から色々な方面から妖怪が姿を表す。

「居たぜ、三蔵一行だ」
「ケケ…行くぜ?」
「あーらら、全く…モッテモテだねぇ、相変わらずうちの三蔵サマは☆」
「いらん」
「あれ…妖怪…しかもあんなにたくさん!?」
「まぁ、何と言いますか、三蔵のファンクラブの皆さん達とでも言いましょうか」
「下らんこと言ってねぇでさっさと殺れ」
「へーへー」
「珍しく村で来なかったからなぁ、鈍っちゃうとこだった!」

そう言うと三蔵と雅を残して三人はジープを降りる。

「あっれー?三蔵は?」
「あの程度お前らだけで十分だろうが」
「悟空、悟浄?察してあげてください?」
「何を?」
「雅を守るって約束ですよ」
「あ、なーる!!そうならそうと言えばいいのに、三蔵サマったら照れ屋さ『ガウンッ!』ん…」

またしても悟浄の言葉の間に銃が唸りをあげる。しかし、悟浄を黙らせるだけではなく、妖怪を一匹仕留めていた。

「え…今…消えた…?」
「あぁ、これは昇霊銃。妖怪共を蹴散らすにはちょうど良い。」
「じゃぁ人間の悟浄じゃ…効かないんじゃ…」
「深傷を追わせることは可能だ。それにあいつらはただの人間じゃねぇ。妖怪だ。」

その一言を聞いて雅は自信の耳をも疑った。

「妖…怪?」
「あぁ。悟浄と八戒は妖怪。正確には悟浄は人間と妖怪のハーフだ。悟空は、岩から生まれたそれこそ異端児だ。」
「異端…児……?」
「で、俺はただの三蔵だ。お前を救ったのは紛れもない妖怪と異端児とただの三蔵。怖くなったか?」
「怖くなんて…」

怖くない…そう答えたかったはずなのに雅の手はカタカタと小さく震えていた。三蔵から突きつけられた事実と、目の前で今まさに終わりを告げた戦いと、その戦いを笑顔で楽しむように妖怪に向かう人……知るまでは怖いなんて思わなかったのに、今では震えが止まらないでいる自身がどうしてなのか、解らなくなっていた。話しながらジープのもとに戻る三人が付く前に三蔵は雅に問うていた。

「次の町までに一日、二日ある。それまでに考えれば良い。次の町に残るか、俺達と来るか…」
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