第23章 揺れる心
時は少し戻り…
「皇子サマ☆」
「…貴様か…」
「嫌だなぁ、そんなに悪態吐くなんて」
「何の用だ」
「昨日は魔天経文取り損ねちゃったみたいだね」
「……」
「せっかくボクが薬を置いておいたのに」
「……わざとだったのか?」
「人聞き悪いなぁ。ちょっとした手伝いのつもりだったんだよ?」
「フン……」
「それでさ?ボクの作戦に乗らない?」
「断る」
「まぁまぁ、そういわないで。」
そういいながら你は顔の前にウサギを持ち上げた。
「ボクがカノジョにちょっと話をしたら皇子サマの出番って訳。」
「訳が解らん」
そういって背中を向けた紅孩児。
「うまく行くかどうかは解らないけど……ほしいんだよね?経文」
そう呟くと你は『先に行くよー』と行ってしまった。
どれくらいの時間が経っただろうか。雅はずっと大木の下で待っていた。
「食事処に行ってみようかな……あ、でも行き違いになると困るし……」
そう呟きながらもただひたすらに待っていた。
「きっとごはんが長引いてるのかな…それとも…何かあったのかな……」
しかし、それを調べる術はもちろんなく、ただじっと待っているしかなかった。
「こんばんは」
「え?」
「一人?」
そう話しかけてきたのはウサギのぬいぐるみだった。
「えっと……」
「クスクス、そんなに警戒しなくても」
「あなた……誰?」
「ボク?名乗るものでもないよ、キミに伝言頼まれただけだから」
「伝言?」
「うん、そう。三蔵って言ったかな?金髪の人にね」
「三蔵から?」
「『もう待っていなくてもいい。待っていても無駄だ。顔も見たくない』って。酷い内容だけど、伝えてほしいって頼まれてね。」
「三蔵……が?」
「ごめんね、良く解らないけどボクは頼まれただけだから。あ、そうそう。これ、長い事待ってるみたいな口ぶりだったから。それじゃぁ」