第20章 李厘の悪戯置き土産?!
そう言い終わるとくすくすと笑ってごまかすような雅。すり…っと胸元にすり寄ると、三蔵の口許は緩み、珍しくもそっと頭を撫でる。
「…おい」
「なに?」
「いずれは……話すと思う。」
「何を?」
「……さぁな」
「なに、それ…クス」
小さく笑うとそっと顔をあげる雅。その視線の先には、紫色のアメジストアイと視線は重なる。
「…三蔵……」
ゆっくりと顔が降りてくるのと同時に雅も目蓋を閉じる。後数センチ…というときだった。
バンッッ!
「たっだいまぁ!!」
「……ッッ」
「あっちゃぁーー……タイミング激悪?」
「あれ、三蔵と雅。どうしたの?」
明らかに不機嫌な表情に変わっていく三蔵と顔を背ける雅。
「…少し、早かったみたい…ですね」
「だな……」
「……全くだ」
そんなこんなだったものの、雅は悟空から買ったものの入った袋を受け取ると、着替えをしようとしていた。
「あ……」
「どうされました?」
「私…服……」
「あ、そうそう、これ。預かってきました」
そういって衣装に着替える前の雅の服をもらうと嬉しそうにお礼を言っていた。そして急いで着替えると、スイートポテトを作るべく宿主に聞きに行ってくる!と部屋を出る。
部屋に残された四人は三蔵の不機嫌そうな顔を見ていた。
「ごめんなさいね、三蔵」
「…フン……」
「でも、まぁ、仕方ないですね…」
「あいつが作り終わったら出るぞ」
「わかりました。」
そう話していた。それから一時間くらいだろうか…雅は出来たばかりのスイートポテトを持って、部屋に戻ってきた。
「ただいま!遅くなっちゃった…」
「いえ、いいんですよ。それじゃぁ、雅が支度整ったら出ましょうか?」
「ん!わかった!じゃぁ、これ、食べて待っててくれる?」
「やったー!!」
「お前は後だ、猿」
「なんだよぅ!三蔵!!」
「俺と八戒が先に食う。当然だろうが」
「キュキュキュ-!!」
「そうですね、白竜も前回食べてないですもんね」
「キュッキュ-!!」
クスクス笑いながら雅は部屋を見渡した。とはいえ、今回のこの宿においては雅の荷物はほとんど開けられていなかった。ほぼ、城太郎達と一緒にテント生活だったために…