第17章 剥き出しの感情
「くっそー……三蔵、なぁ!三蔵って!」
「うるせえっつってんだろ!」
「なんでそんな怒ってんだよ!」
「黙ってろクソ猿!」
あからさまに怒りを表している三蔵。その様子に雅はどう接して良いか解らなかった。
「あの…三蔵……本当に何もないから…」
「うるせぇってんでだろうが」
「ねぇ…」
「離せ」
その様子をみていた悟空は雅に問いかけた。
「雅、どうかした?」
「ちが…なんでも……本当に…」
「でも、なんでも無いなら三蔵あんなに怒んねぇだろ?」
そう、あの様子は誰にもみられてはいなかった。だから三蔵が知ることも無い。雅自身も状況を口にしていた訳では無かった。
ガンッ!!
扉を蹴破らん勢いで開けた三蔵。そこにはベッドに腰かけた悟浄と立ったままの八戒がいた。
「あーー!居た!悟浄達のせいで……って…」
無言のままツカツカっと三蔵は悟浄に歩み寄る。そのまま胸ぐらを掴むとぐいっと持ち上げた。
「三蔵っ?!」
「テメェは…何しやがった」
「…三蔵!ちょっと落ち着いてください」
「黙ってろ、八戒…」