第1章 せんせ
『今回はこの先生方とお別れになります。』
そうマイクで言われると少し人が驚いた顔をした。あの先生が!?好きだったのになー。はたまたよかった…嫌いだったんだよな、など人それぞれだ。
その中でも型でくり貫かれた感覚になっているのは私だ。
理由は今年、卒業担任のアントーニョ・ヘルナンデス・カリエド。私の担任でもあるアイツが移動することになるのだ。
アイツは何でも真剣に聞くようなやつだった。どんな下らない悩みだってね。私は求めていないのに必要に話かけて来ることだって星の数程あった。
そんな奴が移動となった。
別に気にしてることでもないんだけどな
友達全員アイツの事嫌いって言ってたし、私も嫌いと思うことにしてたんだ。それで話しかけてくるアイツに何度も冷たくした。
だがアイツはその冷たさを溶かすかのように寄ってきた。なんか…こう左側が熱くなって、喉にツンと来る感覚を覚えた。
2日前、卒業式が終わった後、私はアイツに鶴を渡した。別にアイツの為なんじゃなくて私が友達に折ってて余ったやつだ。
渡すとアイツ何ていったと思う?
「ほんまくれるんか!?先生嫌われてるのかと思てたわ!?でも花の上に置くのはやめーや…」
大層素敵なものをもらったと言わんばかりに喜ぶんだ。なんか、こう自分で今までやってたことを後悔したよ
「それにしても不器用やねぇ」
「一番出来てた奴だ!!」
「一番できとったの親分にくれるん?嬉しいわぁ」
違うそうじゃなくてたまたまそうなっただけなんだ私はアイツにそんなことしたかった訳じゃ…!!
「あ、余りモンだよばーか!!!」
急いで自分の席に戻ってやった。ざまぁみろ!!
それでも時間は有限だった。
今日の今日で最後なんだ。いつしかスーパーやらで見かけたアイツだけど、学校に合わせ引っ越すらしい。
ばぁーか。