第6章 私の旦那様✿保科宗四郎✿裏
私は結婚している。
相手は第3部隊副隊長の保科宗四郎様。
5歳の時に許嫁だと言われ一度だけ会ったことがある。
私が18歳の時に結婚して2年が過ぎた。
結婚する時は相手側の欄は全て記入済みで送られてきた。
連絡先も知らない。
本当に肩書きだけの彼の妻。
だけど、私はあの人に恋をしている。
初めて会ったあの日から…。
朝、父が新聞を読んでいて叫び出す。
「は…はあ!?ありえん!!不貞行為なぞ許さん!!」
なんだろうと思い父を見て首を傾げる。
母も驚きすぐに父が見ている新聞を覗いた。
母は驚きながらも私に手招きをする。
私も新聞を見てみると、第3部隊保科副隊長に恋人か!?という記事があった。
お相手の方の顔はわからないが仲良さそうに2人並んで歩いているところの写真が載っている。
彼は結婚のことは伏せているようだし、世間的には特に何もないだろう。
私も一度しか会ったことがないので、悲しいが何も言うことは出来ない。
父や母が今すぐ会って来いと言うが、会ってどうするのだ…。
「そろそろ子供も作った方がいいだろう?」
「え?」
15年も会っていないのだ、そんないきなり言われても…。
父がすぐに連絡しようとするので会いに行くからやめてと慌てて止めてしまった。
宗四郎様に子供を作れなんて言って欲しくない。
というか、何故私だけ連絡先を知らないのだ…。
仕事が終わってからでもいいだろうか…。
たぶんその時間でも残っているだろうと思い、そのまま仕事場に向かった。
私は今年、美容師になったばかりなのだ。
一般家庭に生まれた私が何故彼と結婚したのかは…まあ、親同士が親友だったからで…。
宗四郎様にはお兄さんがいるのだが、私と歳が近い宗四郎様が選ばれたようだ。
そして何故かお義兄さんの連絡先は知っている。
よくお義兄さんに俺と結婚したらよかったのに…と言われている。