第37章 禪院直哉の溺愛奴隷✿禪院直哉✿裏
私の手を握るその大きな手は、思ったよりも温かかった。"三歩下がって歩く"。それは、手を引くこの男によって、出来そうにない。
「優しいんやな、美影ちゃんは。……何させられるかわかっとるんやろ?」
「はい」
短く端的に。それがこの男が求める答えだろう。好みに寄せていれば、機嫌が悪くなったりすることはないと思い、自分を捨てる。
「二人きりの時は変に堅ならんくてええよ。俺はただ、美影ちゃんを可愛がりたいだけや。まあ、君やなかったらこんなこと言うてへんけど」
顔を見ようとしても頬だけでは感情が読めない。こちらを向いてくれないかな……そう思っていると直哉様は振り向く。
「どしたん?黙って……」
目が合って、直哉様は口角を上げた。繋いでいる手をグッと引かれ、今度は腰を抱かれる。気付いた時には唇が重なっていて、目の前で金髪が揺れた。
影を落とした瞳がゆっくり閉じられ、ぬるりと唇の隙間を裂かれる。逃げ回る舌を捕まえられ、諦めて身を委ねた。
厭らしく煌めく糸を引きながら離れていく舌に名残惜しさを感じるほど、私の内側は燻られた熱を溜め込んでいる。熱く吐く息で唇を震わせ、目の前の欲を孕む瞳を見つめた。
「……どえらい、えろい顔なっとんで。そないな顔しとったら、俺のんやのに、他の男に色目使われるやろ」
書生服の上着の襟を掴み袴から抜くと、温もりが残る服を私の頭に掛けた。その上から頭を乱暴に撫でて、「行くで」と私の手を引いて歩く。
何が何だか何もわからず、混乱したまま黙って引かれていった。いつもの直哉様とは別の雰囲気を感じていた。