第5章 ST☆RISH ツアー中の過ごし方
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「ありがとうございましたー」
カランコロン…
パン屋から出たところに
菱が立っていて、
『あれ?
車の中で待っててくれたら良かったのに』
というと…
グイッと肩を持たれる
『ちょっ、どうしたの!?(><)』
まるで恋人のような仕草だが
菱の顔は真剣で他に集中している。
「しっ…
誰かに見られてます。
もしかしたらまたストーカーかも…」
『えっ!?……』
カタカタ…
あの時の記憶が少しだけ
フラッシュバックして
ガタガタと震え始める。
「すいません。
気のせいかもしれません。
でも念の為恋人の振りを続けながら
車に乗り込みましょう。」
『う、うん…』
そう言って菱と腕を組み
助手席にエスコートしてもらう。
「大丈夫ですか。
手がすごく震えてます。」
『う……うん』
大丈夫。
あの時から少しは変わったんだから。
バタン
と車の扉が閉められ
ようやく手の震えが治まる。
「すいません。
気づくのが遅れました。」
運転席に戻った菱が
車を発進させながらそう言い、
『ううん。
ありがとう^^
さすが菱だねっ!』
と答える。
菱の機転に救われたところで、
ブブッと携帯が振動する。
”今どこにいる。”
と、珍しくランランから
ミューちゃんみたいなメッセージが届き、
”今帰ってるよ^^”
と返すと
”そうか。”
って返ってくる
どうしたのかな…
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『菱ありがと。』
「だ、大丈夫…ですか?」
『うん。
ちょっと部屋で休んだら、落ち着くと思うし』
「分かりました。
では。
もしまた何かあったら、
何時でも呼んでください。
今日、明日は
何時でも連絡が取れるようにしておきます。」
『う、うん。
……でも多分大丈夫。
ありがと^^』
そう言って車から降りて
家の中に入る。
ガチャ……
『ただいまー…
っても、まだ帰ってきてないか。』
腕時計が17:00となっているのを確認して、
何か食事を作って2人を
待っていてあげたいけど
少し休憩…
と、寝室でパジャマに着替えて横になる。
ドサッ…
体が宙に浮いているような
ふわふわした気分になって
気づけば眠ってしまっていた。