第2章 不思議なタイツ
「今どき珍しい清らかな処女(おとめ)よ。」
光の中、美しい声が聞こえた。
「だ、誰っ!!」
窓際に立っていたのは長い銀色の髪を垂らした――――
「つ、月の女神様っ?!」
「そうじゃ、月の女神じゃ。
そなたの毎晩の祈り感心なことじゃ。しかと聞き入れたぞ。」
「あ、ありがとうございますっ!!」
(し、信じられないっ………ホントにいたんだ女神様。私の勝手な妄想だったのに。)
「コレを遣わそうぞ。」
月の女神様?が美兎に手渡したのは――――――
「こ、これは、タイツ?!」
「普通のタイツではないぞ、白いタイツは身に着けた者の貞操を守る力を。黒いタイツは身に着けた者をえっちにする力を持つ。」
「あ、白いのだけでいいです。」
美兎は黒いタイツを女神様に返そうとした。
「それはならぬ。当品は2足一組のタイツであり片方の返品は受け付けていないのでご了承いただきたい。」
「はあ………」
「それとこのタイツの秘密は決して口外してはならぬぞ。
では幸せを願っているぞ。清らかな処女よ。」
再び女神様を包んだ眩い光はすうっと夜空の満月に吸い込まれていった。
(め、女神様……………)
美兎は白黒2足のタイツを手に床にへたり込んだ。