• テキストサイズ

幻想科学物語-つかの間の閑話-

第1章 見慣れぬ景色と仲間との出会いまで。






ある森の中、1人の女性が横たわっていた。
動物たちが女性に不思議そうに近寄り、匂いを嗅いだりするが、襲う気配はないようだ。


その匂いを嗅がれた刺激で、唸りながら目を覚ます。


「あれ、ここ…」


木々に囲まれ、日差しの木漏れ日も程々に感じ、徐々に目を見開く。
そして、そばには見慣れぬ動物たち、そして、自分の傍には、展開したままのスティックが転がっているだけだった。


そのスティックと自分の泥まみれの手をみて、全てを思い出したのか、スティックを握りしめる。


「村が襲われて、先生もなくなって、母様に救われて…それで、ここに…」


全てを思い出したのか、その頬には一筋の透明な液が伝う。
村はどうなったのだろう、母は、生きてるのだろうか。


途端に思い出す、次々と闇に飲まれていく村の景色、対抗しようと戦う村人たち、それを嘲り笑うように闇の玉が村人たちを覆っていく。


そして、最後に母に抱えられて上空から見た景色は、所々闇に覆われており、世界の終焉をみていたようなそんな景色だった。


母のように強ければ、もう少し真面目に魔導の勉強をしていたら、


そんな後悔と懺悔の気持ちがルーチェの心を支配し、やがては、涙となって溢れ出す。


ルーチェは叫ぶことも、嗚咽する音も抑えるように、ただ静かに泣いていた。
亡くなった村人たち、先生、生死が不明の母をおもって、ただ、そこで涙を流していた。


.

/ 19ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp