第1章 見慣れぬ景色と仲間との出会いまで。
ある森の中、1人の女性が横たわっていた。
動物たちが女性に不思議そうに近寄り、匂いを嗅いだりするが、襲う気配はないようだ。
その匂いを嗅がれた刺激で、唸りながら目を覚ます。
「あれ、ここ…」
木々に囲まれ、日差しの木漏れ日も程々に感じ、徐々に目を見開く。
そして、そばには見慣れぬ動物たち、そして、自分の傍には、展開したままのスティックが転がっているだけだった。
そのスティックと自分の泥まみれの手をみて、全てを思い出したのか、スティックを握りしめる。
「村が襲われて、先生もなくなって、母様に救われて…それで、ここに…」
全てを思い出したのか、その頬には一筋の透明な液が伝う。
村はどうなったのだろう、母は、生きてるのだろうか。
途端に思い出す、次々と闇に飲まれていく村の景色、対抗しようと戦う村人たち、それを嘲り笑うように闇の玉が村人たちを覆っていく。
そして、最後に母に抱えられて上空から見た景色は、所々闇に覆われており、世界の終焉をみていたようなそんな景色だった。
母のように強ければ、もう少し真面目に魔導の勉強をしていたら、
そんな後悔と懺悔の気持ちがルーチェの心を支配し、やがては、涙となって溢れ出す。
ルーチェは叫ぶことも、嗚咽する音も抑えるように、ただ静かに泣いていた。
亡くなった村人たち、先生、生死が不明の母をおもって、ただ、そこで涙を流していた。
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