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だが為に薔薇姫は微笑む【薬屋/R18】

第1章 娼館から後宮へ




「この方はやんごとなきお方···この度はありがとうございました。深く感謝申し上げます」


「とんでもございません」


高順は幼いながらも堅実なの姿に強い感銘を受けた。


見た目や背格好からして壬氏と同い年くらいの女の子だろうに。


余程厳しい躾を施されたのか···。


「さ、壬氏様、参りましょう」


「もう?···また、会える?」


「なりません」


ここは花街であり、はやがて妓女となる身である事は高順は察していた。


将来皇帝になるかもしれないお方と、妓女とでは身分が違い過ぎる···。


ほんのり数刻で仲良くなったのだろう事を思えば、高順は申し訳無さを覚えたが、これは主君の為だ。


「···、」


ポンと、壬氏の背中を押して足を進め始めた高順に、壬氏は寂しそうに振り返った。


(もう、···会えないんだ)


も些か寂しさを感じて、笑みを浮かべてひらひらとゆっくりと腕を振った。


の腕には、薄い紅色の薔薇のような痣が浮かんでいるのを、壬氏はしっかりとその目に撮していた。


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