第3章 壬氏の女官
高順から見て、最近の壬氏は気持ちが悪い程上機嫌だった。
のおかげか大量にあった書類も一瞬で片付けては、次から次へと舞い込む仕事も早々と片付けて、なんならがいるだけで仕事の清算率が格段に上がりすこぶる調子がいい。
初恋の人と再開を果たし、浮かれる気持ちはわからなくもないが、猫猫も上機嫌の壬氏を見てはドン引きするくらいだ。
「···高順様、壬氏様どうしたんです?」
猫猫の言いたい事はわかる、と言ったように遠い目をした高順を見て、猫猫は悟った。
「···わかりました。聞くなと言う事ですね」
「すまない。小猫···」
(まぁ、壬氏様の反応を見るに好いた人間でも出来たんだろう···浮かれ具合が、好いた人間を目の前に反応するそれだ)
猫猫はめんどくさそうにため息を吐いた。
「···壬氏様の想い人、か···」
ある意味、見て見たい気もする。
壬氏が好いている、慕う相手。
いったいどんな人物なのか···。
猫猫の好奇心が、心をくすぐった。