第3章 壬氏の女官
「壬氏様、が来ましたよ」
水蓮が壬氏の部屋の扉を開け、を「さぁ」と中に通した。
聞きたい事が、山のようにある。
は水蓮に一礼した後で、壬氏の前まで訪れて礼をした。
「よく来てくれた。楽にしてくれていい」
この状況、どうした物か。
は礼の姿勢を解くと、天女にも勝る壬氏の御尊顔を改めて見た。
上品に笑みを浮かべた壬氏は続けて口を開いた。
「君、は今日本日を持って私付の女官にした。明日からは私の世話役も兼ねてここの女官として働いてもらう。よろしく頼む」
有無言わせ無いとでも言うような壬氏の表情に、は困ったようなしかめっ面を浮かべた。
答えは「肯」しか受け取らない、壬氏の言葉には口を開く。
「それは、私でなければならないのでしょうか···?」
壬氏の女官になりたい。
そんな女官達は後宮内にどれほどいるだろう。
(女官の仕事ならば私でなくても···)
「それがねえぇ···」
背後で聞いていた水蓮が困ったように「はぁ」とため息をついた。