第1章 娼館から後宮へ
(今日も空が青いなぁー···)
洗濯カゴを片手に、ふと見上げた空は雲ひとつ無く晴れ晴れとしていた。
後宮へ売られてから約2ヶ月が過ぎようとしていた。
年季があけるまで約2年。
買い物に出ていただけなのに、買い物をしていて攫われるなど前代未聞だっただろう。
無事に年季をあける為、は今日も変装に抜かりは無い。
まず、胸を潰す。
胸がふくよかな方なのは、も自覚していた。
風の噂で皇帝は胸のふくよかな女性が好きだと言う事を聞いた。
実際に妃達は胸が豊満だ。
それから顔だ···。
高級娼館の薔薇姫の娘とも言うだけの事はあり、色白で絹糸のような濡れ羽色の黒髪に、紅紫色の瞳。
紅は引いていないにも関わらず、赤い椿のように赤い唇は化粧をしていなくても誰もが目をひく容姿をしていた。
小柄ながらもそこに居るだけで存在感があるそんな彼女は、顔に多めに黒子を入れた化粧を施していた。
これで胸があって黒子が無ければ···と言われる下女の誕生だ。