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【短編集】悪役令嬢RTA

第10章 ド屑


「余はちゃんとエルシに『余を愛しているなら第二夫人にしてやろう』と最初に話している」
「でもっ、あんなに私を愛していると、レーナ様は愛してはいないとっ」
エルシが叫ぶ様に言う。

「ああ、レーナは確かに愛してはいないかもなあ、だが、正室はレーナだ。お前を第二夫人にして良いかもレーナが決める。
それに、ふふっ、豊満な女が良いというこの時代に『貧乳はステイタスだ!希少付値だ!』とか、ご自慢の胸を張って言うのだぞ?こんな面白い女は中々いない」
王子の言葉に私は扇で寄せに寄せた胸を隠す。
顔が熱い。婚約者として近しくしていただいているから、王子と話す機会は有り、だが、例題としてそれを選ぶなんて。
エルシはボインだし!

「な、何で?!……私を愛しているって」
「愛していたら正室にしなければいけないのなら、余は今頃両手で足らぬ程妻を作らねばならぬ」
王子は徐にエルシを振り払って私の方に歩いてきた。

「レーナ、どうだ、第二夫人に」
私の空いている方の手を取り王子。
「ご趣味が悪いわ。でもお好きになさったら?」
私が返せば王子は高笑をする。

「余を前にしてもこれだぞ。エルシは可愛い、愛しておるが、レーナの跳ねっ返りは面白い。ベッドの上で御してやりたくなる」
「まあお下品だこと」
言えば、王子は私をダンスホールの方に引っ張っていく。

ダンスに誘われたのなら、婚約者だし、断る理由も無い。
お義理程度に……と思っていたら、王子が何やら楽団に目配せをした。
アップテンポの曲が始まる。

疲れるわね……と思っていると、曲の最高潮に入りしな王子が私をリフトした。
そのまま抱えた私を振り回し、曲の終わりに私を着地させる。
二人でヒンジをキメた。

拍手喝采が巻き起こる。
「レーナは胸が無い分軽いから抱きやすいわ」
王子が吹かす。
ムカッときたが、この人の言動はいつもこんなもんだ。
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