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【短編集】悪役令嬢RTA

第10章 ド屑


『おいお前、断罪されるらしいぞ?』
―――アールノ・リューティカイネン王太子殿下に事も無げに言われて私はくるみ割り人形の様にパッカーンと口を開ける。
「はは、稀代の悪女、『レーナ・アハティアラ』もそんな顔をするのだな」
『お前は本当に面白い女だ。余を飽きさせない』―――等と嘯き殿下は歩き出す。

―――私の名前は『レーナ・アハティアラ』。
この国の三大公爵家の一つ、宰相の父を持つ令嬢。
そして、次期王を嘱望される『アールノ・リューティカイネン』王子の婚約者。

と、いうのは世を忍ぶ仮の姿。
私には前世の記憶があった、最初は朧気に。今はハッキリと思い出せる。名前は『』。

特筆すべき山場のある人生ではなかったけれど、短大を卒業し、慎ましい会社員生活を送り、職場で出会った男性と結婚。
二子をもうけ、その子が成人した頃に大病を患い、そのまま帰らぬ人になった。

そんな私は今度は華やかな令嬢生活を満喫中だ。
お后教育も学校の勉学も大変だけど、それは逆に言えば充実している。

王子は臆面ないというか忌憚がないというか、学園では有名で私という者がありながら浮き名を流すお人だ。
折角だし!!と王子に不埒な誘いをかける令嬢達をちょいとばかり『教育』してあげていたら、『悪役令嬢』なる不名誉な称号を頂いてしまった。

まあ、そんな私でも親しくして下さる友人はいるし、王子は自由だけど関係は悪くない。
本当に私の生活は充実している。

―――一つの事を除けば。
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