第7章 とりかへばや物語り
「あなた、本当に三十歳上の壮年男性の所に嫁ぐのが苦じゃないのね?」
問えばヨンナは頷く。
「むしろドンと来いです」
ヨンナの言葉に嘘はなかった様だし、今日も発音の仕方まで私と同じで美しい。
私は明日起こる事をヨンナに話して聞かせる。
「それで……私は何をすれば良いのですか?」
途中お茶を挿れ、二人で飲みながら語り合う。
「あなた、私になりなさい」
「はあ、……」
ヨンナが胡乱な返事をする。
「私は今夜でお前にいくばくか金子を渡してクビにするわ」
「……?」
「察しが悪いわね。私は『ヨンナ』として、この屋敷を出るわ。そして代わりにお前が『サンドラ・ティッキネン』に成るのよ」
私の言葉にヨンナは相変わらず落ち着いていた。
「お嬢様は市井でやっていけますか?」
更に私の心配をしてくれる始末だ。
「私これでも『モーレツ社員』だったんだから」
「『モーレツ社員』?」