第6章 断罪イベントは蜜の味
そして処女を喪った時、懐妊し、次の聖女に力が移るとかなんとか。
まあ、それは良いの。
「今読み上げたのはごく一部にしかすぎません。でもどういう意味で私が読み上げたのかはお分かりですよね?」
私がパンパンとまだある紙束を手に打ち付ければキッと殿下が睨んでくる。
「こんな偽言を吐き、レーヴェンヒェルム嬢を貶めて、楽しいか?カッセル公爵令嬢」
まだエメリを信じているのね殿下。
私悲しいわ。
「楽しい?」
書類をパンと叩く。
「わたくしが楽しくてやっているとお思いですの?」
問えばフィリップ様は真っ赤になって吐き散らかす。
「お前は本当に可愛気のない女だ。こんな事をして、私の気持ちがお前に戻ると思っているのか?」
思ってないわよ、殿下。
最初から殿下のお気持ちは私には無かったんだもの。
えぇ、だからこそ無邪気に寄り添ってくれたエメリが好きになってしまったのよね。
「これは音声記録を書き起こした物ですの。大変でしたわ、『沢山』あって。もう書記官達総出で今日に間に合せましたの。
これが偽言だとおっしゃるならもう少しお読みしましょうか?
『あっ、ラーシュ様、んっ、こんなの初めて』」
「もういいっ」
私の言葉を遮るフィリップ殿下。