第6章 断罪イベントは蜜の味
私、―――死んだ。
そこは重要じゃないの。私過労死しちゃった。以上終わり。
私は断罪イベントを控えた悪役令嬢に転生しちゃったの!!
その情報を手に入れた所でどうしようも無かった私―――。
気が弱過ぎるわ!!
確かに私『ヴェロニカ・カッセル』は『エメリ・レーヴェンヒェルム』に意地悪をした。
でもそれは親切心からよ。
エメリは私の婚約者である『フィリップ・ルンドクヴィスト』王太子殿下に惚れているようだったから遠回しに『お止めなさい』と伝えただけだ。
私は幼少期からフィリップ様のお嫁さん、つまりはお后教育を受けてきた―――生易しい物じゃなかった、病んだ時もあったわ。
それでもフィリップ様に『君の瞳によく似合うよ』と、扇を頂いた時は嬉しくて―――まあ、プレゼントはそれだけだったけど。
フィリップ様が私を愛してないのは分かっている。
私をお后にしなければいけない、でも私を『女』として愛していない。
それでも私、ヴェロニカは、お后になりたかった。