第3章 ひろゆきRTA
「教育、ですわ」
熱い目頭を隠す様に扇で顔をあおぎながら言う。
「教育?」
オスヴァルド様が聞き返してくる。
「わたくしの大切なオスヴァルド様に嫁ぐ方が貴族社会に馴染めていないのでは困りますもの」
まあ馴染めなくしたのは私だけれど。
でもまあ良い薬になったでしょうし、スヴェアはオスヴァルド様やその取り巻きに宥められてさぞ幸福だったでしょう。
オスヴァルド様が壊れた玩具の様に繰り返す。
「『大切なオスヴァルド様』……?」
「えぇ、私だって、オスヴァルド様をお慕いしていましたもの。そうね、教育は勿論ですが、やっかみも御座いました。えぇ、それは認めます」
私の言葉にスヴェアがオスヴァルド様に腕を巻き付けた。
私はドレスを持ち、しずしずとスヴェアの側に歩いていく。
―――綺麗な紺碧のドレス。きっとオスヴァルド様が贈ったのね。
オスヴァルド様がスヴェアを手で庇う。
だけど私は構わず、手袋に包まれた手を取る。