第13章 天翔る悪役令嬢
流石侯爵家。
広い庭に慎重に着地する。
丁度、二階のテラスの所に飛び移れそうだ。
ハッチを開き、ユーリウス様の手を取り抱えてテラスに向かってジャンプした。
室内にはまだ多数の子女が残っている。
突然窓をガタガタ言わせながら巨体が庭に着地して、テラスから飛び込んできた私達に視線が集まった。
「皆様!改めて、初めまして!この『フォートレス・パライソ』の新たなシュバリエ、スティナ・エレーンですわ!……そして、こちらは私のフィアンセ、ユーリウス・ハネル様でしてよ!」
朗々と私は謳う。
ユーリウス様を床に降ろし、私達は主催であるクリステル・フレーリン様の前に行く。
「先程は失礼致しました。私達の仲はこういう事なのです」
説明しながらクリステル様の隣でまだ信じられないという眼をしているグスタフ様を見る。
「教えてくれたなら良かったではないか」
グスタフ様が言う。
まあ、そうね。
「この事は初出撃まで話してはいけないと止められていましたの」
私が言うと、グスタフ様は視線を伏せた。
納得はしたけど承服はできかねるって感じかしら。
そうよね、浮気していると思った婚約者が『シュバリエだった』ナンテ、ね。
私は進み出てグスタフ様の手を取る。
「私はこの『フォートレス・パライソ』のシュバリエですわ。ですけれど、私の胸にはいつもグスタフ様がいらしたのですよ。貴方様を護りたいという気持ちが私を奮い立たせ今、ここに立たせているのです」
カーテシーをして、取った手に口付けた。