第9章 静かな医師
少し進むとベンチがあったので、私はそこで腰を下ろしてパフューマーを待つことにした。ここが療養庭園だと呼ぶのがよく分かる。どの植物たちも、訪れた人々を癒してくれているみたいだ。
「うーん……」
そこに誰かの気配が。もしかして、療養のために患者さんでもいたのだろうか……と草の壁を覗き込むとそこには見覚えのあるオペレーターがいたのだ。
サイレンスだった。
他のリーベリより睡眠をとる種族でありながら、サイレンスはその鉱石病のせいであまりよく眠れていないみたいだった。ならいつもどこで睡眠を取っているのか……と疑問に思っていたところに答えが今目の前に出た。
サイレンスはいつも眠そうな顔はしていたが、仕事中は一切手を抜くことも狂うこともなく問題なかった。それは、ここで必要な睡眠を取っていたからなのだろう。
「いつもありがとうな、サイレンス」
サイレンスの戦場での冷静な行動と判断はいつも助けられていると皆からも聞いている。いつもの癖でサイレンスの頭を撫でると、柔らかい羽毛のような髪の毛が指の間を通り抜けていった。
ちなみに、なぜかパフューマーはしばらく帰ってこなかった。気を遣わせてしまっただろうか。
おしまい