第1章 信頼
「あ、ありがとう、おんりー。おんりーならやってくれると思っていたんだ」
とあるエンドラ討伐撮影中。俺が何気なくしたことに、ドズルさんからすごく感謝された。
「ドズルさんなら、こうして欲しいんだろなって思って」
俺は考えていたことをそのまま伝えたが、ハハハッとドズルさんが笑って。
「なんだか僕たち、息が合うんじゃない?」
「ああ、まぁ……」
そうだなぁと思うことは俺も度々感じてはいた。だけど自宅のカーペットをスリッパのまま歩いたことは許さないけどね(笑)
するとそこにぼんさんが割り込んで、声が飛んできた。
「あ、なんでこんなところにあるんだよ! わざわざマグマなんか敷いて!」
「それはドズルさんの指示です」
「え、なんで僕?!」
ネザゲ前にマグマを垂らしたのは本当だ。ちょっとしたイタズラ心だった。ドズルさんの指示ではないけど、俺の動揺を隠すためには充分な笑える嘘だった。
そうして俺たちはいつも通りわちゃわちゃしながら撮影を終えた訳だが。
内心はドキドキしていた。
「お疲れ様でした〜」
と俺が通話を切ろうとしたタイミングでぼんさんがこんなことを言い出したのだ。
「ドズさん、今日おんりーにべったりだったんじゃない?」
え?
しかし俺が何か言うより早くドズルさんは大笑い。
「そうかも? おんりー頼りになるし、恋しちゃったかもね」
はい?
俺の頭の理解が追いつく前に、お疲れ様〜と散り散りにメンバーたちがグループ通話を抜けていく。
ボーッしていたら最後が俺だったので急いで通話を切って考える。ドズルさんの言葉を。
恋?
あんな言い方はズルいだろ。と動揺している時点で俺もさすがに自覚はしなくちゃいけなかった。一体いつからなんだろう。
ドズルさんに恋愛感情を抱いたのは。
一人ため息をついて、ようやく呼吸が出来たような錯覚をしてしまう。俺はこの感情をどうしたいいか分からない。だからそれまでは秘めていよう。
時間を確認する。らいくんのご飯の時間だ。俺は配信部屋の椅子から立ち上がった。
この気持ちは、まだ誰にも秘密だった時の俺の話。
つづく?