第3章 〈一般人編┃10話完結〉子供時代
〈第2章 │01/10話〉【01 心機一転】1/2P
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「我々がお送り出来るのはここまでです。ここは[西の海]の果ての[世界政府]非加盟国。不自由の無い、住まいと財産はあちらに用意しました」
「ありがとうございます、十分です」
「……では[天竜人]の証明チップを回収します」
そう、原作の流れを残して去って行く海軍の軍人と船を見送った。ここまで連れて来てくれた彼らに、ちゃんと礼を尽くしていたら態度が柔らかくなったのを見て、ひそかに自信にする。
「これから、一家五人『幸せ』に暮らそう!」
屋敷を見上げる父も言ったことが変化した。
五人が屋敷に入ったのを確認して、様々な計画を伝えるタメに口を開く。
「みなさん………ながたびおつかれさま。これからあらためてよろしくね!」
「ああ…よろしくな」
私に続いて、おどろくことにみんなが互いを労い合って挨拶を交わしている。こういう些細なことで『人を大事にする精神』が育めばいいと思うので続けていきたい。
「それでね、いぜんにはなしてたとおり、わたしたちが[天竜人]なことはぜったいひみつにしたいから、まずくちょうやよびかたをかえます。なまえもみじかくしたほうがいいかも」
「あぁ!大丈夫だ!マリージョアやもってた物にはなかったけど、シャボンティでふつうの言葉の本をなんさつも買ってきてみんなで勉強してたんだ。だから大丈夫!!」
「えええ、そうだったの……?すごい!」
「お前にこっそりな。結構勉強したんだぜ」
ドヤ顔で微笑む兄たちと笑い合っていたところに、父上がニコニコしながら交ざってくる。