【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
「今月中には冊封を届ける事にする。」
月娘の部屋で、壬氏は嬉しそうに微笑みながら月娘に言った。
僑香(キョウコウ)は幸せそうに微笑み合う2人を見て、やっと安堵のため息を吐けた。
「お嬢様。茉莉花茶じゃない他のお茶にしますか?」
「…いいわよ、茉莉花茶で。」
僑香は揶揄う様に月娘に言ったが、月娘は少し顔を赤らめただけだった。
その月娘を顔を見て僑香は安心した。
今日はもう気付け薬の出番は無さそうだ。
月娘は僑香が淹れた湯気の立っているお茶を見て、ふと顔を上げて壬氏を見上げた。
穏やかにお茶を飲んでいる壬氏を見て、やっと自分達に平穏な時間が訪れると思った。
ここまできたら、もう夏潤(ハユン)に邪魔される事は無い。
そう確信しながら、月娘もまたお茶を口に含んだ。
「月娘。婚礼の前に皇室に入ってくれないか?」
壬氏は小さな茶器を机に置いて月娘に問いかけた。
その答えは勿論、いい結果だと分かっていた。