【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
そもそも後宮入りしたって、月娘との婚姻を無くす事なんて考えていなかった。
世間の流行歌の様な事は決して無かった。
確かに14歳での月娘との婚姻は見送りにした。
しかし、世継ぎに不幸が続いていた皇帝に皇太子が出来るまで、壬氏と月娘の子供は作ってはいけないと。
この皇室に大きな派閥が出来る事は避けたかった。
ましてや、月娘は太師の娘だった。
いくら皇帝の側近の娘だったとしても、どこで政が起こるか分からないのがこの皇室だ。
(だから私は…皇帝に皇太子が出来たら結婚しようと……。)
そう思っていたのに、気が付いたら時には、もう縁の糸は絡まっていた。
(…いや…一度だけ…。)
その絡まった糸を解こうとした時がある。
何を伝えたくても瑞月を避ける月娘を、皇命で呼び出した。