第1章 悪霊がいっぱい!?
数日後。
あたしは色々気持ちがグチャグチャになっていて、一人で机に顔を突っ伏していた。
「どーしたの、結衣。元気ないじゃん」
「それがさー。なんか、もう会えない人が初恋相手になっちゃったらしいよ」
「うっそー!」
「しかも相手はそんなに性格は好きじゃないと思ってた相手らしい」
友人たちは好き勝手何かを言っていた。
(いや、言ってることほぼ合ってる。というかあたしが言った)
ぼーさんの事、あたしは一目惚れしていたらしい。
しかも初恋相手という事にかなり驚いているのと、やっぱり自分は趣味が悪いと痛感した。
見た目はどタイプ、性格はやや悪め。
そんな人を好きになるなんて、しかももう会えないだろうし、ぼーさんが帰ってしまってから自覚するなんて馬鹿だ。
なんて思っている時であった。
「1ーFの谷山麻衣さん、1ーEの谷山結衣さん。至急事務所まで来てください」
まさかの放送で双子揃っての呼び出し。
一体なんだろうかと思いながらも、教室を出れば同じように麻衣も出てきていた。
「なんだろうねぇ」
「さあ?事務室でしょ……なんかあたし達やらかしたかな?」
不安を抱きながらも事務室に迎えば、事務員のお姉さんが愛想のいい笑みを浮かべた。
「あのー谷山たちなんですけど」
「電話が入ってますよ」
「あ、どーも。スピーカーにするね」
「うん」
「もしもし?」
「お電話替わりました、谷山です」
一体誰からの電話だろうか。
そう思いながら相手からの言葉を待つ。
『……麻衣と結衣か?』
電話の向こうから聞こえた声は、ナルだった。
『……麻衣、結衣?』
「そ、そう!そうです!」
「結衣と麻衣です!」
『どならなくても聞こえる』
電話の向こうから聞こえたのは、相変わらず偉そうな口調のナルからだった。
まさかのナルからの電話にかなり驚いてしまう。
「ど、どうしたの?電話なんか」
『ギャラ』
「は?」
「ギャラ?」
『だから、助手をやってくれた給料。いらないなら別にいいが』
ナルが電話をかけてきた要件はどうやらそれだけらしい。
いや、なにも期待していなかったが、麻衣はそうではなかったらしい。
残念そうな苛立っているような表情である。