第7章 血ぬられた迷宮
「例えば……霊が消す人間を選んでるってことですか?美山家の人間は犠牲にしないとか」
「でも職員は美山家の血筋ってわけじゃねぇだろ?なんで無事なんだよ」
「……やったら、もしかしてここの霊は若いお人が好きなのかもしれません」
「若い人……?」
「職員の皆さんは年配の方ばかりですやろ。反対に消えたのは二十代以下の若い人ばかり違いますか?」
ジョンの言葉とおりだ。
今まで行方不明になっているのは、全員二十代前半から以下。
そして行方不明になっていない職員の人達は、皆年配の人ばかりである。
「あ、あたし……ナルに話してくる!」
「待って麻衣!」
「待った!一人でいくな。おれたちは全員三十前だろーが。ジョンの意見が正しかったら全員が危険なんだぞ。ナルちゃんの言う通りだ。絶対一人にならないほうがいい」
そうして、あたし達は絶対に一人にならないように警戒しながらベースへと戻った。
ベースに戻ると綾子達が集まっていたのだが、彼女達はあたし達が戻ってくると安堵したような表情を浮かべる。
「──帰ってきた!」
「ど、どうしたの?」
「良かったわ、無事で。また人が消えたのよ」
「また!?」
「誰だ?」
「福田さんですって」
「ていうと、南心霊調査会のあの若いねえちゃんか。いくつだ?」
ぼーさんの問に、綾子はまるで『急になんだ』と言いたげな表情を浮かべる。
「はあ!?知らないわよ。二十五かそこらじゃないの?それが?」
あたし達は顔を見合わせる。
やっぱりジョンの言う通り、ここの霊は若い人ばかりを狙っているのだろうと。
その後、あたし達はナルにジョンの意見を伝えた。
ここの霊は若い人を狙っているのではないか……ということを。
「なるほどな……」
「……ウソでしょ」
「安原さん、麻衣、結衣。三人とも絶対に一人になるんじゃない」
ナルが警戒している雰囲気を纏っている。
その事にちょっと驚きながらも、彼の言葉に頷いた。
「松崎さん。どの程度信用してもいいですか?」
「……なによ、それ」
「言葉の遊戯をやっている場合じゃない。麻衣も結衣も安原さんも必要なんです。しかしここは危険だ。あなたをどの低度アテにしてもいいですか?」
「……退魔法ていどなら、アテにしてくれてもいいわ」