第1章 悪霊がいっぱい!?
土曜日で授業は短め。
それなのに泊まりこみやら作業なんて真っ平御免だと思っていたが、ナルはあたし達が黙り込む言葉を言い放つ。
「カメラを弁償するか?」
「……準備しときます……」
「喜んで泊まるつもりでいます……」
泣く泣く泊まる準備をする事を決意し、ナルの指示であたし達は二階の西端の教室に機材を設置した。
その帰り道、何故か着いてきていたぼーさんに声をかけられた。
「なぁ、お嬢ちゃん。えーと、結衣だっけ?」
「う、うん。なに、ぼーさん」
「オマエさんら双子はなんだってあのボウヤの使いっ走りなんてさせられてんだ?見たところ、ここの学生だろ?」
「これにはね……深いわけがあるのさ……」
思い出しただけで嫌になる。
そう思いながら、あたしは何があったのかをぼーさんに説明した。
すると彼は同情したかのような、可哀想なものを見るような目であたし達を見てくる。
「そりゃ、ご愁傷さま」
「どーも……」
「でも、そろそろオマエさんお帰りなさいや。ここにほんとうにやばいのが居たら危険だぞ。お嬢ちゃんのような可愛らしい子たちに何かあったら流石におれも嫌だからな」
ぼーさんはあたしの頭を優しく撫でてくる。
まさかの行動にあたしはその場で固まってしまい、徐々に頬に熱が込み上げてくるのが分かった。
ぼーさんは明るい笑顔を浮かべてそのまま歩き出してしまう。
(せ、性格はタイプじゃないと思ったけどそーでもないかも……)
そんなあたしの様子を見ていたのだろう。
麻衣がジト目でこちらを見てきて、あたしの背中を思いっきり叩いてきた。
「いたぁっ!?」
「なあに顔赤くしてんの」
「いや……性格はタイプじゃないと思ったけど、そうでもなかったかも……と」
「趣味悪い」
「う、うるさいなあ……!」
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翌朝。
せっかくの土曜日をこの後潰されると知っているせいか、気分はドナドナ。
だが一つ違うのはあのぼーさんがいることだろうか。
(正直性格はタイプじゃないかもと思ってたけどさあ、昨日の最後の方はそうじゃなかったかも……)
ニヤける頬を抑えながらも、相変わらず麻衣のクラスに入り浸り恵子達に昨日来たメンバーの事を話していた。
「原真砂子!?ってあのTVによく出てる?」
「なんかナルにコナかけてたよー」