第4章 放課後の呪者
「……知ってんのか?」
麻衣の言葉に、少しだけ法生は目を見開く。
そんな彼の様子を見た結衣はデスクに置いてあった、依頼書を手にして彼の前に置く。
「これ、きのうから三件も依頼があったの!」
「全部湯浅高校!」
「でもナルが全部断っちゃったんだよ」
「そう。だからぼーさんかジョンにたのめないかと思って、連絡先きいといたの!」
双子の言葉を聞いて、法生は依頼書を手にする。
三枚の紙を見てから彼は真剣な表情になった。
「……こりゃあ、ただことじゃないぜ。こんな短期間に一つの学校に集中して──」
そんな時、ドアベルが鳴った。
控えめな声で『あのう……』と声が掛かるので、全員がそちらへと視線を向けた。
そこには年配の男性がいた。
彼は戸惑ったような表情をしながらこちらを見ており、慌てて麻衣が立ち上がる。
「あ、はいっ。ご依頼ですか?」
「あの、わたくしこういう者ですが……」
彼は名刺を取り出した。
そこには【私立湯浅高等学校 校長 三上昇】と書かれている。
(湯浅高等学校……!?)
名刺を見た双子と法生は目を見開かせる。
話題にしていた高校の校長がまさか依頼に来るなんてと。
「……じつはうちの学校でへんなことがおこっているらしくて。その調査をお願いできないかと思いまして……」
ーーーーーーー
ー結衣sideー
あたし達は湯浅高等学校に来ていた。
勿論それは依頼の調査の為である。
(結局、ナルは依頼を受けたんだよね……)
最初は三件の湯浅の生徒からの依頼を断ったが、ぼーさんの件やその学校の校長からの依頼を聞いて引き受けたのである。
そして現在、あたしたちは湯浅高校に来たわけである。
「どうも、ご足労さまです」
湯浅高校にはまず、ナルとぼーさんとあたし達だけが来た。
そして校長室にて説明を受ける。
「こちらが生活指導の吉野先生です。彼が学内をご案内します」
紹介された先生は、少しだけ神経質そうな人。
彼は少々やつれた表情を浮かべながらも、あたしたちに頭を下げた。
「校内は自由に調べていただいてけっこうですので、早く学内がおちつくようによろしくお願いします」
そしてあたし達は吉野先生により、学内を案内された。