第1章 【弟】
チャイムが鳴って、ホームルームは終わった。
一気に椅子をガタン!と引く音が鳴り響き教室が騒がしくなる。
明日から土日だから、みんな我先にとテンションを高くしているのだ。
「おいカナエ!これから遊びにいこーぜッ!!」
がっ!と肩を掴まれたけど、
俺はだるそうにスマホを鞄から取り出した。
「はぁ...」
と、画面をいじりながら、ため息。
「オイどうしたんだよー?なんかあったのかぁ?カナエー」
と両手でやれやれポーズを取った友達の、ツンツン頭の瞬。
そして隣には穏やかに微笑む俺の友達2の泪がいた。
「んー...なんかな、この後も、土日もだめそうだわ...瞬と泪と遊ぶの。ごめん」
俺は眉を下げた。
「あらあら〜だめだったんだねぇ...また弟さん?」
泪の方がいち早く察し、白くて長い指で、すっ..と俺からスマホを取る。
泪は俺の弟ーー昴の写真を見せてきた。
「あー..うん..」