第9章 【初恋】
「私にわざわざ、休日に会いにきてくれたのか...」
「はい...理事長先生...♡」
ーーーどうやら、妹の方は、何とかなったらしい。
ゼェハァ、と俺は息を荒げる。
妹をおんぶして美美美女学園の校門のでかい檻を上ったり、守衛さんの目をごまかしたり...出来ることはなんだってしてやった。
ーーーアレ...でもコレ...妹は理事長先生とラブイチャしてる訳だが...俺はぁ!?協力し損...!?
理事長先生に抱擁されながら、妹は、チラッと俺に目を向けてくる。
『任せて泉にーちゃん!後ろ見て!』
ーーー後ろを振り返ると、そこには...
「すっ、皇先生ッ!?」
そう、愛しのあの先生がいた...!
皇先生は、ニコニコと穏やかな微笑みをたたえている。
「妹さんの忘れ物、美美美女学園まで一緒に取りにきてたら、迷子になっちゃったんだって...?妹さんから僕、聞いちゃってねぇ」
ーーーい、いつの間にそんな手を!?
後ろを振り返って、妹を見たら親指を突き立てていた。
『泉兄ちゃん、先生誘いたくても誘えなかったんでしょ?泉にーちゃんの学校に電話してあげた♡』
...なんとなく、まぁそんな事を言っているのだろう、妹は懸命に口をパクパク動かしていた。
「親御さんもこの時間居なかったらしいねぇ...怖かった?」