第3章 Z=2.5 Xデーの後日譚
ルーチェは2人の現代人の言葉になにか思うところがあったのか拳を強く握る。
(どうしたら...)
俯きっぱなしのルーチェに近づき、千空は、肩を掴んで揺らす。
「けどな、ルーチェ。お前はひとりじゃねぇ。お前も立派な科学王国民だ!お前一人で背負い込むことねぇよ。お前の村人たちは1歩ずつ1歩ずつ、進んできたんだろーが。違うか?」
ルーチェは、千空の言葉に何かを感じとったのかはっと顔を上げる。
千空、コハク、クロム、スイカ、ゲン...はまだどっちかわからない。
と、みんなの顔を見渡す。魔導士じゃないけど、みな頼りになる仲間たち。
ルーチェは無表情ではあるが、何かを決意したような強い意志を瞳に託したピンクの瞳で千空をみる。
「村の二の舞にさせない。今度こそ、みんなを守る。」
ルーチェから語られた過去から、それぞれ暗い表情やら、怪しげな表情、そして怒ったような表情やらをしていた一行。
だが、ルーチェの言葉をきき、ふっと優しく、ルーチェを応援してるような雰囲気になる。
「まぁルーチェいないと詰む場面もあるしなぁ。魔導術とやらは最後の切り札としてとっておかねぇと、なぁ?」
「千空、ゲスい。」「ホントにゲスいな。」
ゲス顔を浮かべてまた無神経なことを言う千空にツッコミを入れるクロムとコハク。
だが、ルーチェの魔導術は役に立つと思うし、それにルーチェは自身の力を私利私欲のために使うことはないだろう。
それはこの場で一致したのか、改めて宜しくと挨拶し合う。
そこには暖かな日差しが差し込み、賑やかな場となった。
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