第15章 Z=14 完璧な医者と不完全な魔導士
「血圧105の72、心拍数80でサイナス。」
ルーチェが静かにバイタルを告げると、結界を解いて後片付けを手早くすませる。
「…千空、このことは…」
「俺の口から伝える。後片付けもやっとくわ。てめぇはさっさと帰って休め。」
言葉は乱暴だが、ルーチェを気遣う千空。
ルーチェはこくりと頷き、司の顔を覗き込む。
「…明日また来ます。」
切なげにそれだけを告げると、ルーチェは入口の方へと向かった。
入口をでると、そこには、ゲン、ミライ、コハク、杠、大樹が居た。
「ルーチェちゃん、手術は…」
ゲンが恐る恐るといったふうに聞く。
ルーチェはみんなの顔を見ると、重たげに唇を開く。
「…傷口の縫合や傷付いた内蔵の修復はできた。」
「なら!兄さんは……」
ミライはぱぁ、と顔を輝かせると、ルーチェはさらに下を俯く。
その様子に一同、ただならぬ様子だということを察した。
「ごめんなさい、お兄さんは…司さんは……もってすう、こ、く……」
バタンッ
ルーチェが途中まで言いかけたあと、唐突に倒れ込んだ。
一同は、ルーチェに駆け寄り、揺らしたり、声掛けを行う。
「ルーチェちゃん!しっかり!!」
「おきてください、ルーチェさん!」
「ルーチェ!どうしたというのだ!!この前まであんなに…」
「おねえちゃん、しっかりして!」
みなか必死に声をかける。
が、その声がルーチェに届くことはなかった。
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