第15章 Z=14 完璧な医者と不完全な魔導士
シーラの葬儀を終えた朝、千空の指示のもとそれぞれの準備をすすめており、みんなが改造した戦車にそれぞれ荷物の搬入や工具の確認やストレッチなどを進めていた。
勿論、ルーチェも薬草の管理や医療道具の確認などをして、出発にむけて準備を進めていたのだが------
「あー、ルーチェ、てめぇはここにいろ。」
千空が突然そんなことをいってきた。
人類が石化してから約3700年、病院があった跡地にどんな地形変動が起こっているかわからない。それならば、自分の魔導力を使えば早く見つかるのでは?と考え、ついていく気満々のルーチェだった。
「せ、せんくう、なんで?」
「あー、理由はいくつかあるが、まずはここにいるやつらの手当、だ。無血開城とはいえ、怪我人も多い。それと、村のことも少し気になるしな。」
「それは、そうだけど…」
「なら話ははぇ。運転はゲンにまかせりゃいいし、発掘作業はゴリラチームがいりゃなんとかなんだろ。けど、医者は現状てめぇしかいねぇ。手当、まかせたぞ。」
ルーチェが抗議の声を上げようとしたが、後ろから千空、準備できたぞー、という声に思わず尻込みしてしまう。
無表情は相変わらずだが、目元をピクリと動かせば不満に思っていることは伝わったようで、千空はルーチェの肩にポン、と手を置いた。
「ルーチェ、てめぇにしかできねぇ仕事だ。任せたぞ、お医者サマ。」
千空がそういうと、いまいくわぁ、と大声で叫び、隊列の方へと歩いていく千空。
ルーチェはただ、その後ろ姿を見守るだけだった。
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