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幻想科学物語

第13章 Z=12 共闘





クロム奪還作戦のための自動車、スチームゴリラ号が完成したのは、冬の寒さもどこへやら、暖かな日差しが差し込む春だった。


感動のお披露目もそこそこに、千空たちは科学道具をひとしきり乗せ、村に残る組に、いってきます、と挨拶を交わし、みんなは出発した。


はいいのだが、ここはストーンワールド。つまり舗装道路なんてものはなく、ガタガタな道や急な坂道がたくさんある。


「上り坂だと、とまるのか。」


「皆で押すしかない。」


そういいながら、皆でスチームゴリラ号を押し進めるもなかなか上手いこと進まない。


ルーチェも風魔導を使い、浮かせようとしたが、科学道具を積んだスチームゴリラ号を押すのはかなり至難の業で、なかなか進まなかった。


「首振りエンジンは…仕組みが、ねぇ。勢い付けんとまわんないからのう。」


「複動式っつてなぁ……ダブル蒸気なら……もっとパワーが、出たんだがなぁ…。じ、かん、節約が、裏目、にでたか。」


千空も息絶え絶えに解説していると、なにかを思いついたのか、はっとした表情をして立ち止まる。


みんなが頑張って押した結果、タイヤが動き、少しは加速する。
コハクが、まだまだ続くぞ!といって皆を鼓舞するが、ふと立ち止まった千空の方をむいた。


「千空が…めっぽう悪い顔をしているぞ…」


コハクがそういうと、みんなは千空の表情をみて、あ、これは悪いことを企んでいるな、と予想をつけて冷や汗をかくのであった。


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