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幻想科学物語

第12章 Z=11 作戦会議






一方その頃の司帝国-------------


クロムは牢屋に入れる前に、と身体検査を受けるため、氷月とともに待ちぼうけを食らっていた。
そこへなにかが近づく足音が聞こえた。


その足音が近づくにつれてその姿はハッキリとみえ、クロムは見覚えのある特徴に目を見開く。


(ルーチェ…か?いや、にしては背が高いような……)


クロムがまじまじと見ているうちに影はクロムの前で止まる。
そして、切れ長の紫に近いピンクの瞳でクロムのことを見下ろしたあと、氷月に視線を移す。


「この子は誰かしら?新しいお仲間?氷月君。」


「…捕虜ですよ、シーラくん。牢屋に入れる前に怪我の手当と身体検査を司くんに言われましてね。お願いできますか?」


氷月がそういうと、シーラは無言で頷き、クロムに向かって手をかざす。


「スペクティア」


ルーチェのそれとはちがい、冷たい魔導がクロムを包みこみ、苦しげに顔を歪める。シーラは構わず魔導を発動し続けた。


暫くすると、内部に何も無いことを確認したのか、光は収まりクロムは解放されたと同時に床に膝を着く。


「この子、なにももってないわ。」


「そうですか。では、牢屋に入れても問題なさそうですね。さ、休んでないで行きますよ。」


そういうと氷月は、クロムの片腕を掴み、強制的に立たせる。
苦しそうにしながらも、なんとか立ち上がり、シーラの方をちらっと見る。


「ルーチェは元気だ。生きている。」


それだけを伝えるとクロムは、氷月の後について行き牢屋へとあるいていった。


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