第10章 Z=9 科学の光と叡智の陽
ルーチェが詩の朗読を終えると、宙に舞った"鍵"が再び輝きをはなつ。
ルーチェ以外にその輝きはとても強く感じ、再度目を覆う。
「母様と、先生から聞いていた……王国のえ、いちのとしょかん…」
ルーチェはその大きなピンクの瞳を大きく見開き、"鍵"の中心から徐々に現れる扉を見つめた。
その扉は、2つの開扉となっており、巨人でも入れるような高さがあった。
ルーチェは吸い込まれるようにその扉に触れようと飛んだ。
いや、正確には飛ぼうとしたが、何者かに腕を掴まれた。
「ルーチェちゃん!だめだ、危険だよ!」
ルーチェの腕を引っ張っていたのは輝きにも屈さずに立っていたゲンだった。
「ゲン、はなし、て…」
「嫌だ!この下は崖なんだよ!?もし、そのまま落ちたらどうするの!?ルーチェちゃん死ぬかもしれないんだよ!?その扉の向こうに、何があるのかもわからない。だから…」
「死なないから、大丈夫。ゲン、この扉の向こうはきっと安全だよ。だってこの扉は…」
「「「「「うわああぁあああああぁあ」」」」」
ルーチェがみんなに扉の説明をしようとすると、扉がゆっくりと開いた。
その扉から強風が飛んできて千空はみんなに、落ち着つくまでは、その場に伏せろと、叫ぶ。
ルーチェとゲン以外はその指示にしたがったが、時は既に遅く…
ルーチェはこの隙に自分の意思で足を踏み入れたが、まるで千空たちも来いといわんばかりに風は強くなり、みんなはそのまま見知らぬ場所へときてしまった。
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