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幻想科学物語

第7章 Z=6 医者と魔導士と科学者と






御前試合で優勝を収め、酒とお酢を大量入手した科学王国民。
川でなにやら工作している間、ルーチェはクロムの手当を行い、千空の指示通りにアニリンを作成していく。


そんなこんなしているうちに、千空たちが帰ってきて、科学物質を次々と作成していった。


念の為、とラボ内に簡易な結界をはり、あーでもない、こーでもない、と千空、クロム、ルーチェは実験を繰り返す。
時には爆発もしたが、それは結界のおかげというべきか、建物は無事だった。


そして、翌日の午前辺りだろうか。
最後の工程、薬を重曹で洗い流し、少し待つと、サルファ剤が完成した。
そのサルファ剤の完成を皆で喜びを分かちあいつつも、一刻を争うことから、ゲン以外のみんなでルリのもとへといった。


ルーチェは千空にまず聴診器代わりのものがないかを聞いたが、ビーカーを渡されるだけだった。


「千空、これできけ、と?」


「あぁ、外科でも基礎的な音のききわけ方は習ってんだろ?」


「……わかった。」


そう言って、ビーカーを手に持ってルリの背中に回り、何も言わずに背中にビーカーを当てる。
昨日とはちがい、女性らしい本来の凛としたルーチェ自身の声でルリに語りかけた。


「声、いーって言ってみて。」


「えっ?ええ?」


「事情は後で話す。とにかく、いー、っていって。」


ルリはルーチェから発せられた声に戸惑いながらもいー、と声を出す。


ルーチェはその時の肺の音から簡単に異常を察知した。


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