第5章 嫉妬
シャワー室を出て、そのまま副隊長と2人で市川くんたちの病室に向かった。
病室に入ってそうそう古橋くんに騒がれたが、副隊長の一言で静かになった。
どうやら、昨日あの後すぐに古橋くんはグループチャットで私たちのことを言ったらしい。
確かに昨日、通知がうるさくてオフにしたが、そんなことになっていたとは…。
アプリを開くと、同期のグループチャットの通知が100を超えていた。
チャットを開いて確認すると、同期のみんながめちゃくちゃ話していた。
付き合ってるのか?と聞かれていたりしたが、返していないうちに付き合っていることになっていた。
すぐにチャットに《付き合ってない!》と送る。
後ろから覗き込む副隊長が溜め息をこぼす。
「僕ら、付き合ってないで。そんな綺麗な関係やない。」
「ちょっと!変な言い方しないでください!関係もなにもないじゃないですか!!」
私たちはどういう関係なのだろうか。
付き合ってもなければ、セフレでもないような…。
身体を重ねたことはない。
だが、口淫はした。
「あれはどう考えても付き合ってるっすよね!?」
「俺も付き合ってるようにしか…。」
なんて言えばいいのだろうか。
そのまま正直に全部言うべきなのだろうか。
「僕は三浦の彼氏でもなんでもない、けど…美影に手ぇ出したら許さへんで。」
副隊長は少しだけ目を開き、2人を睨んだ。
2人は訳が分からないまま怯えているようだ。
まるで、蛇と蛙…。
副隊長の前に立ち視線を遮ると、2人は少し落ち着いたみたいだ。
怖がらせないでくださいと、今度は私が少し睨む。
普段だったら絶対怒られそうだが…というかたぶん、腕立てさせられる。
副隊長はその視線に気付くとシュンとしたように眉を下げた。
心做しか少し縮んだように見えた。
「と、とりあえず、付き合ってないからっ!けど、お互い大切に思ってる。お互いの気持ちも知ってる。だから、誰にも取られたくない…。」
そういうことやからと副隊長が私の手を引いて扉に向かったので、そのまま2人の病室を後にした。